2014年11月24日

高山WS2014 第4回!

11/22,高山WSの第4回が行われました。
その模様を矢田がお送りします。

今回は,第2回までに子どもたちが作ったピタゴラ装置の「パーツ」と,第3回に導入があった「センサー」を組み合わせ,各班でピタゴラ「装置」を作っていく,という内容でした。

というわけでテーマは「つなぎ」です。

いままで一人ひとりの子どもたちが作ったパーツは,それ自体で完結しているものの,ちっぽけなものです。しかしそれぞれがいわば「入力」と「出力」を備えていて,個々のパーツはお互いにつなげることができます。そうして大きくしていったものが,本ワークショップでピタゴラ「装置」と呼んでいるものなのです。

多くのパーツは,基本的に上から下へと球(ビー玉や鉄球,スーパーボールも使われます)が転がり落ちていき,その過程で何かの一工夫がされて,パーツの外へと球が転がり出る,という仕組みのものです。

P1020709.JPG


じゃあこれらのパーツをそのままつないでいけばいいかというと,そうは行きません。上から下へと落ちるだけでは,高さが足りなくなってしまうからです。それに,なんだか味気ないですね。そして各班に与えられた領域は,大きめの机。この平面を有効に活用するには,横の動きもうまく取り入れたいところ。

そこで「つなぎ」を実現するために,私達スタッフがサンプルを用意しました。

mihon.JPG

mihon2.JPG


一方,前回扱った「センサー」も取り入れると,さらにつなぎの幅が広がります。今回,センサーは入力と出力をパワーアップ!

sencer.JPG


  • 入力
    • 圧力センサー(前回も導入)
    • 光センサー
    • 距離センサー

  • 出力
    • LED(前回も導入)
    • サーボモーター
    • ブザー


これにより,球が転がって明かりを遮ることによって,モーターが踏切を開ける,といったような仕組みを組み込むことができます。夢が広がりますね。最近の子どもたちはデジタル・ネイティブなだけあって,電子工作の飲み込みが速い。

子どもたちはいろいろなお手本を参考にしながら,自分たちの作ったパーツを他の班員のパーツとどうやったらうまくつなげられるかを思案していました。あまりそれに熱中するので,途中設けられた工場見学の時間が早く切り上げられるほどに。

しかし実際のところは,つなぎというのはとてもむずかしいものです。前のパーツから出てくる球が,うまくつなぎの入り口に入らなかったりするのです。そこらへんを高校生スタッフたちがやさしく手助けしながら,そして私達ものラボスタッフが全体のつながりを吟味しながら,子どもたちが「ものづくり」に熱中する,それが本日の構図でした。

班によって進捗の差があるものの,概ねいいところまで行っているようです。いよいよ次回,ピタゴラ「装置」が完成を迎えます。ご家族のみなさま,お子さんの成し遂げた達成を見届けにいらしてください。


最後にこの日の反省点を。
実はさきほど,子どもたちはものづくりに熱中していた,と書きましたが,一部のお子さんの中には制作に飽きてしまって他の遊びに興じてしまうという場面がありました。彼らのモチベーションをどのように引き出し,面白い装置の制作に取り組んでもらうか,そしてそれを面白いと思ってもらうか(循環的な表現ですが)。それが私達ものラボスタッフおよび高校生スタッフに課せられた今年度最後のミッションになるでしょう。一方で,どうしてもものづくりに興味がわかない子もいます。人間とは「工作する人(ホモ・ファーベル)」だ,と言ったのはフランスの哲学者ベルクソンでしたが,どちらかといえばより本質を突いていると思えるのはオランダの哲学者ホイジンガによる定義:「遊ぶ人(ホモ・ルーデンス)」でしょう。「遊び」と「工作」が一致するかどうかはその人の個性次第です。もしもこのワークショップで,ものづくりを熱中できるほどには面白がれない子どもたちを相手にしたとき,何を伝えられるか。ここにもう一つの課題があります。
ものラボが子どもたちに紹介している3DプリンターやArduinoによる電子工作は,昨今「パーソナル・ファブリケーション」と呼ばれて久しい「だれでも個人レベルで安価にかつ簡単にできるものづくり」の代表例です。近代以前,生産は個人あるいは家族・集落の手にありました。ところが近代以降,生産という業が個人の手から資本家の手へと移譲され,資本家の有する生産工場のもとで個人が労働者として労働力を供給するという構図により,労働者は自らの手で生産する手段を奪われ,既成品の消費による経済の回転を強要された,という見方があります。そうした視座から見ると,「パーソナル・ファブリケーション」は個人が生産をその手に取り戻す時代の到来を意味します。そしてこのような個人レベルでの生産は,インターネットそのもののインフラとしての効果はさることながら,PayPalといった個人レベルでの電子決済システムの普及によって一層浸透していき,今や手作りの製品の販売で生計を立てる人はめずらしくなくなりつつあります。株式の基本理念をネイティブな方向に拡張したクラウドファンディングといった新しい資金獲得手法で,面白いモノが製品化されるのも普通になってきました。
そのようなものづくり社会の到来を前にして,ものづくりそのものやものづくりする人への理解を,たとえものづくりに興味がない人でも持つことは重要です。人となりの見える個人レベルでのモノの売り買いは,そういう温かな理解なくしては心地よくない,ということが想像できるでしょうか。大企業の既成品・サービスに遠慮無く辛辣なクレームを力いっぱい投げつける人たちに欠如しているのはそれで,そして近代以降の大量生産の仕組みがそのような理解を人間から奪ったとはいえないでしょうか。少し前まで,生産のようすは消費者からはよく見えませんでしたが,いまは状況が少し違いますね。
さぁ,残すところあと1回のワークショップ。力を試されているのは子どもたちばかりでなく,私達の側も,ということです。

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2014年11月14日

部分と全体

宮田です。

11/8(土)に開催された「ものラボワークショップ in 高山」の第三回の講座「簡単?おどろき?センサーのレシピ」は無事終了しました。

<準備>
昨年のワークショップで、思い切って電子工作・センサーを取り入れたところ、思った以上に興味を持ってもらえたので、今年はさらに拡大して2人に1セットの電子工作キットを準備しました。既存の電子工作キットを使わずに、ワークショップ用に一つ一つ選定して揃えました。
今年もArduinoというマイコンを使用しましたが、最近一層ブームになり、10個近く仕入れるのはなかなか骨が折れました。また青色LEDの在庫だけ少なく、早速今年のノーベル賞の影響を感じました。何度も秋葉原に買い出しに行き、足りない部品はネットで買い付け、何とか全員分のキットを揃えることができました。


<当日の様子>
今年も昨年と同じく、圧力センサーを押すと、LEDライトが1つ点灯する装置を作ってもらうことにしました。非常に簡単な仕組みですが、入力(実世界の感覚情報を受け取る)・データ処理(情報をデータとして処理する)・出力(再び実世界に何かを返す)の一連の流れを掴むことができます。

3-1.JPG
↑見本で作った装置

3-2.JPG
↑装置の説明中

今回の参加者は、予想を大幅に上回る勢いで電子部品を組み上げていき、念の為準備していた応用コース(より強く押すと、もう1つ別のLEDが光る装置)までみんな終わらせてしまい、時間が余ってしまいました。

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↑真剣に取り組んでいます

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↑参加者が作った装置(複数のLEDが使われています)

そこで急遽、マイコンに書き込むプログラム(Arduinoでは「スケッチ」といいます)の紹介をすることにしました。圧力センサーの「閾値(しきいち)」の話まで踏み込んで、どういう仕組みで装置が動いているかを説明しましたが、ちょっと難しい用語も多くわかりにくかったかもしれません。もう少し準備すればよかったと反省です。

arduino-sketch.png
↑あらかじめ準備しておいたスケッチ(一部値を修正)

3-5.jpg
↑めでたく全員分(今回は参加者20名なので10個)の装置が完成しました!


<次回に向けて>
さて、次回以降、今回作った装置を改良してピタゴラ装置に組み入れていきます。
入力として、圧力センサー以外に、光センサーや距離センサーを、出力として、LED以外に、サウンダー(ブザー)やサーボモーターを準備しています。
第三回の講座では、「実際に手を動かすこと」を重視し、見本を真似ることに集中してもらいました。しかし、次回からは新しい部品を使って、独自の装置を作ることになります。そこではやみくもに手を動かすのではなく、「設計すること」が求められます。

arduino.jpg
↑設計のための電子部品イラストも作ってあります!

この時、鍵となるのは先ほども述べたように、「入力」「データ処理」「出力」の3層に切り分けて、それぞれについて設計を進めることです。いきなり同時並行で全てに取り組もうとするのではなく、細かい部分に分解して、一つ一つのパーツを確実に作動させていくことが肝心です。一方で、最終的には一つの機構としてまとめなければならないので、全体像を見失わないようにしなければなりません。

全体を見渡しながら、部分を詰めていくこと


電子工作に限らず、ピタゴラ装置の完成に向けた、次回以降の課題になりそうです。

宮田

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2014年10月24日

高山WS第1回を終えて

こんにちは。
武井です。

前回の佐々木君の記事にあった通り、去る10月11日に高山ワークショップの第1回が開催されました。
高山ワークショップは、なんだかんだ叫んだってほぼ丸1年かけて準備を進める、ものラボの中核プログラムと言えるでしょう。
市内の小学生を対象とする現在の形になって今年で3年目ですが、毎年参加してきた僕には、もはや季語のような存在です(笑)

さて、第1回では、僕は空気砲の講師を務めました。制作したのは段ボール空気砲とペットボトル空気砲の2種類です。
講座の中ではフォグマシーンを利用して、段ボール空気砲から出る渦輪を観察したり、作ったペットボトル空気砲を使ってゲームをしたりしました。
多少の反省点はあったものの取り敢えずは成功したと言ってよいのでは、と感じており、講師回を終えた安心感からホッとしています。

これまた佐々木君が報告してますが、今年の第1回には空気砲と3DCADの2つが組み込まれていました。
考えてみると、これってなかなか面白いと言うか山本リンダ並みに欲張りなプログラムだとも言えます(もちろん本当のリンダさんが欲張りかなんて全く知りませんが、名曲「狙いうち」の歌詞のせいで僕の頭の中ではリンダさんと欲張りが強く連合しています。こまっちゃうナ)。

3DCADは最終的には3Dプリンタで出力され形となりますが、時間的制約もあって、第1回目の講座内ではデータの作成に留まっています。つまり、ヴァーチャルなものづくりの体験と言えるでしょう。
一方の空気砲は、目の前に物理的に存在する材料と道具を使って行う、リアルなものづくりの体験です。
ものづくりは、ヴァーチャルとリアルの2種類だと言い切ることは強引で、現状の正確な把握ではないかもしれません。
しかしそれでも、ものづくりをそのようにざっくりと分類することに一定の意味があるとすれば、今回の講座はその両方をカバーしており、子供たちにものづくりの世界を紹介する高山ワークショップの初回としては適切だったのではないかと思います。

さらに、空気砲に関しては、子供たちに原理の説明はしていません。なぜ空気が出てくるのかやなぜ段ボールから出る煙がドーナツ状になるのかといった理屈には触れていません。
これも、空気砲部分ではリアルな体験を重視したためです。材料・道具と自分の身体を使ってリアルな何かに触れ、リアルな何かを見るという点を大事にしたいと考えました。
理科的な説明でその体験・感覚を侵食してしまうよりは、段ボールから煙がドーナツのように出て来るのを見たなどの体験と、楽しいな、不思議だなという感覚を得られれば十分だという気持ちで臨みました。
この体験の理屈が気になる子どもは本で調べたり周りの大人に聞いたりするでしょう(なお、子どもが親御さんに聞いた時に対応できるよう、別室で行われた保護者プログラムでは渦輪の原理を説明しています)。あるいは、これから先、学校で関連知識を習った際に、ものラボで体験したあれはそういうことだったのかと納得するかもしれません。
ただ、この体験が何にどう繋がるかはその子ども次第であって、極端なことを言ってしまえば、結局原理は知らないままでも構わないと思います。

最後に、反省点について記しておきたいと思います。
僕にとって最大の反省は時間調整についてです。今回は、3DCADと段ボール空気砲に25分ずつ、ペットボトル空気砲制作に50分を取りました。しかし、実際にはペットボトルの制作が短時間で済み、ゲームに移行するまでに手持ち無沙汰となる子どもたちが出てしまいました。こういった子どもたちにはゲームの練習をしていて貰ったのですが、それによってゲーム本番の運営に少し影響が出てしまいました。

ペットボトル空気砲の制作時間は8月に柏市で実施したキッズセミナーでかかった時間を参考に設定したもので根拠がないものではありませんでした。ただ、そのキッズセミナーでは予定より制作に時間がかかったということもあり、今回も時間が押した場合の調整は考えていたのですが、制作が早く終わった時にどうするかについては検討不足だったと言わざるを得ません。
今回のように、3DCADと空気砲の2つを並行して行っている場合には、空気砲の都合だけで急遽スケジュールを動かすことは難しいため、時間に関する検討は尚更必要だったのに、と反省しています。

一歩離れてみれば、制作が遅れた場合を考えるなら、早くなった場合も考えるのは余りにも当然のことのようですが、実際には経験に引き摺られて見落としてしまっていました。
起き得る可能性全てについて事前に対応を考えることは不可能としても、その事態が起こる可能性は小さいと本当に判断できるのか丁寧に吟味し、可能性を排除できないならば対応策を用意しておく必要があると感じました。

まぁそんなこんなだった第1回目はさておき、明日は高山ワークショップ第2回が開催されます!何を隠そう、このブログも現在高山に向かう車中で執筆しているのであります(^^)ゞ
講師回は全体を見なければならないので子どもたちとの交流が少なくなりがちですが、明日は1スタッフとして特定の班を担当できるので楽しみです。
わくわくがどうにもとまらない☆

それじゃまた〜



武井


posted by ものラボ at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 武井 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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